「龍樹」 中村元
宮崎哲弥つながりで、彼が一番影響を受けたと書いていた『中論』を著した龍樹(ナーガールジュナ)の入門書。内容はかなり専門的で難しかった。
龍樹の思想のポイントは、「空」と「縁起」
でその主張を要約すると、この世の中には何一つ独立して存在するものはない(空)。長い棒があって初めて短い棒があるように、「長い棒」というものがあるように、全てのものは相互依存の関係をもち、互いが互いを成立させるための条件になっている(縁起)、ということでしょう!
あとすごく独特だなって思ったのが、龍樹がよく使う以下の論理展開。
まず、<すでに去ったもの>は、去らない。また<未だ去らないもの>も去らない。さらに<すでに去ったもの>と<未だ去らないもの>とを離れた<現在去りつつあるもの>も去らない
確かに!「去るもの」って、A「すでに去ったもの」か、B「未だ去らないもの」の二つに分けられて、「現在去りつつあるもの」っていうのも、AとBの中間にあって決して去ることはない。なぜなら、「現在去りつつあるものが去る」とすれば、もともと去っていた物体がさらに去ることになって論理的に矛盾がでる。だから何ものも去らない!
言われてみればそうだ。これは一体どういうことでしょうか