マンキュー経済学 マクロ編 ‐3‐
pp.68-87
絶対優位と比較優位について
「自由な取引によってすべてのアクターはより多くの利益を得ることができる」
AとBだけが住んでいる町で、彼らは牛肉とジャガイモの二財を生産している。
AとBの二財の生産状況は以下の表でしめされる。
AとBは互いに交易がない状況で、(牛肉、ジャガイモ)を、A(4、16)とB(12、24)で生産し、消費していたとする。
ここでBがAに対して以下の提案をする。
「あなたは8時間働くとジャガイモを32オンス作ることができる。私が牛肉18オンスとジャガイモ12オンスを作って、あなたに5オンスの牛肉をあなたにあげる代わりに、あなたは私にジャガイモを15オンス頂戴。」
Bの提案通りにすると、二人の消費量は、A(5、17)とB(13、27)となり、交易がなかった場合と比べて、両者とも得をしていることが分かる。これは交易をすることで、お互いが得意な財の生産に集中できるようになったためである。
比較優位の原理
BのほうがAよりも牛肉もジャガイモの生産も有利なのに、なぜAはジャガイモの生産に特化すべきと分かるのだろうか。絶対優位と比較優位の違いに着目して考察してみる。
絶対優位とは「ある財を生産するのに、より少ない投入量しか必要としない状態」である。この場合、BはAに牛肉もジャガイモも絶対優位の状態であると言える。
比較優位とは「ある財を生産する時に、他の財の生産を少ししか放棄しない状態」である。この場合、AとBの機会費用は以下のようになる。
Aはジャガイモの生産に関して、Bに対して比較優位を持っているといえる。一方の人が両方の財に関して比較優位を持つことは不可能である。