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『「壁と卵」の現代中国論』 梶谷懐

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現代の中国に食品や労働や不動産、為替に人権に民族と多方面から切り込んだ本。著者の梶谷さんは経済学者なので、特に前半はきちんとデータを使いながら話を進めてくれるのが良かった。

 

題名の「壁」は強固で圧倒的なシステムを指し、「卵」は脆弱で壊れやすい個人を指すとのこと。自分の手で作り上げたはずのシステムが、次第に意思を持ったように暴走し始め、それに個人が押しつぶされそうになっているのが今の中国の状況である。

 

授業で中国の経済改革史(特に鄧小平のころ)を学んでいるけど、中国ってホントにぎりぎりの所で舵取りしながら経済システムを作り上げてきてて、それがある意味では現在花開いた(最近は失速気味だけど)というか、ひずみが出てきてるというかっていう状態なんだと思います。

 

その授業の先生が言っていたけれど、現代の中国を理解する上で大切なのは、やはり天安門事件であり、趙紫陽なのだと。趙紫陽は思想的にかなり開かれた人で、中国の民主化に寛容だったんだけど、天安門事件に同情的な姿勢をとったせいで党内では失脚してしまったらしい。今でも趙紫陽のことが公に語られることは少ないんだとか。

 

結局先生が言いたいのは、この天安門事件のときに、中国はいわゆる「普通」の先進国に近づくことが可能だったかもしれないけれど、これを弾圧したせいでそのキッカケを逃してしまったんだ、ってことだと思う。

 

そういえば書籍の中で紹介されていた中国映画が衝撃的だったのでリンクしておきます。

 

www.youtube.com

 

大卒で就職難の女性が、ブローカーに誘拐され農村に売りとばされてしまう話。中国ではこういうことが実際にあるんだとか。臨場感のある映像と生々しい役者の雰囲気は、説得力をもって私たちに中国の状況を垣間見せてくれます。英語字幕があるので、中国語わからなくても全然OK。(僕もニーハオしかしりましぇん)