マンキュー経済学 マクロ編 -5-
pp.125-154
・国民所得の測定
一国の経済のすべての人々が稼いでいる総所得を表すものが国内総生産(GDP)である。
GDPは総所得と総支出の両方を測定する。なぜなら経済全体において所得と支出は等しくなるはずだからだ。これが成立するのは、Aさんが何かを得るためにBさんに払った支出はBさんの所得になるという単純な事実から導かれる。つまり、GDPは家計の総支出を足し合わせるか、企業が支払った総所得を足し合わせるかという二つの方法のどちらかで計算することができる。
GDPは「一定期間において、一国内で生産されるすべての最終的な財・サービスの市場価値」である。
GNP(国民総生産)は一国の永住者が稼ぐ総所得である。GDPから外国人が稼いだ所得を引いたものである。
NNP(国民純生産)はGNPから「減価償却」分を引いたものである。減価償却とは、経済の設備や建造物のストックの摩耗であり、実際に国民が稼いだ所得を見るためには、こうした固定資本消耗による損失を差し引かなくてはいけない。
個人所得は家計および非法人企業が受け取る所得である。留保収益は法人が稼いでいながら、企業の所有者には払われていないので、個人所得からは除去してある。
個人可処分所得は個人所得から税金などを引き、最終的に個人の手元に残った分の所得である。
GDPは中古財の取引は含まれない。
・GDPの構成要素
GDP(Y)の構成要素は以下の式で表される
Y=C+I+G+NX
この式は恒等式である。つまり、かならず真である。
Cは消費、Iは投資、Gは政府支出、NXは純輸出である。
純輸出は輸出-輸入で表される。このようにするのは、輸入で支払われる支出は、CかIかGの中に含まれるからである。
名目GDPはその期の価格を用いて生産を評価する。実質GDPは特定の基準念の価格を用いて生産を評価する。
GDPデフレーターは名目GDP/実質GDP×100で表される。これはある年の財・サービスの価格を反映する。GDPデフレーターが100より大きければ物価上昇、100より小さければ物価下落が起きていることを意味する。