マンキュー マクロ編 -9-
・ファイナンスの基本的な分析手法
金融上の意思決定を左右する二つの要素は「時間」と「リスク」である。
・現在価値
現在価値とは、現在の利子率で将来その金額を生み出すのに今日必要な金額である。
利子率rで100ドルを預けた場合のN年後の価値は
(1+r)^N*100ドル
で表される。ではN年後に200ドルを手にするためには、現在銀行にどれだけ貯金しなければいけないかというと、
(1+r)^N*Xドル=200ドル を変形して、
X=200/(1+r)^N
である。
ほとんどの人はリスク回避的である。富と効用を関数で表せば、以下のようになる
・保険市場
保険の役割は人生に内在するリスクを効率的に分散することである。
そして保険市場が直面する二つの問題は「逆選択」と「モラルハザード」である。
リスク分散は重要な概念である。例えば、株式市場では同じ金額でも保有銘柄数を増やすことで、リスク(標準偏差)を分散することができる。
しかし、このやり方で分散できるリスクは特定の会社に対する「固有リスク」のみである。経済不況などすべての会社に当てはまる「共通リスク」はこれでは分散することができない。
・資産評価
今までの話を応用して、企業の株式価格の決定要因を考えてみる。
・ファンダメンタルズ分析
株式を購入するかどうかは、「株式総額」と「企業価値」を比べて考える。株式総額が企業価値よりも小さいならば、その企業は株式市場において過小評価されているので、株を買った方がよい。ファンダメンタルズ分析とは、この「企業価値」を知るためにその企業について詳しく分析することである。
・効率市場仮説
これは、「プロが取引している株式市場では、株価は常に適切である」という仮定に基づいている。そうであれば、ランダムに購入する銘柄を選んだとしても、それほど問題はないはずである。この仮説の含意は「株価は現在利用可能な情報からは予測できない」というものである。
・市場の非合理性
しかし株価はその本当の価値から乖離してしまう場合がある。
ケインズは資産市場は投資家たちのアニマルスピリットによって動かされていると言った。つまり株式を評価するときには周囲の人の評価も勘定に入れなければいけないのである。