マンキュー経済学 マクロ編 -10-
‐失業と自然失業率‐
・失業の識別
16歳以上の成人を以下の三つのカテゴリーに分類する。
雇用者
失業者
非労働力
そして、労働力は、
労働力=雇用者数+失業者
で計算され、失業率は、
失業率=失業者数/労働力*100
で表される。さらに労働市場に参加している人々の割合を表す「労働力率」は
労働力率=労働力/成人人口*100
で表される。
失業率が変動する際の基準となるような失業率を「自然失業率」といい、この自然失業率からの乖離を「循環的失業率」という。
・なぜ失業があるのか
失業を説明する要因は二つある。
①摩擦的失業・・・自分に最も適した仕事を見つけるのには時間がかかる。これは比較的短い失業期間を説明してくれる。
②構造的失業・・・労働供給量が労働需要を上回っているとき、失業が発生する。これは長期の失業期間を説明していて、何らかの形で「賃金が需要と供給を均衡させる水準よりも高いとき」に発生する。この条件が成立するのは、1.最低賃金法、2.労働組合、3.効率賃金の三つが影響を与える場合である。
・職探し
失業保険を与えてしまうと、人々の職探しに対する意欲をそいでしまう場合がある。失業保険をなくせば失業者が減少する点では経済学者の意見は一致しているが、それによって経済的福祉が高まるかについては論争の余地がある。
最低賃金は確かに失業率に影響を与えているが、それは主要な要因ではない。なぜなら多くの人々が最低賃金を上回る額で働いているからである。最低賃金が大きな影響を与えるのは若年層の未熟な労働者に対してである。
・労働組合と団体交渉
労働組合活動は賃金を最適な価格から乖離させる。そして労働組合に属している労働者は団体交渉の便益を得て、労働組合に属していない労働者は費用を負担することになる。
・効率賃金論
企業が自主的に賃金を高く設定することで、失業が発生する場合がある。ではなぜ企業は賃金を高くしたいのだろうか。それは①健康、②離職の回避、③インセンティブ、④人材獲得が理由に挙げられる。