『マインド・コントロール』 岡田尊司
2012年の本だけど、すでに絶版になってしまってるようで図書館で前ページ印刷して読了。
マインド・コントロールないしは洗脳の技法について、多くの事例を交えながら解説してある。戦前から戦後の米ソによるマインドコントロール研究史なども面白い。現在もブッシュ政権下で発足された”HAARP”というプロジェクトが進行中らしい。
具体的な技法について本書に書いてあったことを簡単にまとめておくと、
①人を「情報過少」ないしは「情報過多」の状況におく
情報過少の状況に置かれた場合、人は情報を欲して、与えられた少しの情報をよく吸収しようとする。情報過多の状況に置かれた場合は、脳は入力された情報を適切に処理する能力を失い、コントロール下に置かれる。
②脳を疲労させ、考える余力を奪う
脳の処理能力そのものを低下させ、情報に対する抵抗力を失わさせる。
③確信をもって救済や不朽の意味を約束する
そうした状況下で人々は希望を与えられると、過度にそれを受容してしまう。
④人は自分を認めてくれた存在を裏切れない
一度でも自分の承認欲求を満たしてくれた人を裏切ることが難しい。
⑤自己判断を許さず、依存状態に置き続ける
被支配者には自らで意思決定をさせずに、支配者がそれを代わりに行うことで、依存関係に置く。
書いてるだけで恐ろしくなってくるぐらい残酷な話だけど、承認欲求が満たされにくくなっている現代社会でマインド・コントロールって本当にみんながきちんと考えなくちゃいけない問題だと思う。
そもそもこの本を読んだきっかけは、カルト宗教に入れ込んだり、ブラック企業をやめられない人たちを「向こう側」に行ってしまった人のように考えてしまうことに違和感を持ったからでした。
つまり、人は社会で生活しているかぎり、いかなるマインドコントロールからも自由ということをありえないんじゃないかということです。学校教育から政治動員まで私たちが受容している生活の中にはマインドコントロールの手法って必ず使われていて、それをそれとして意識していない人の意見を聞くと、なんだかもぞもぞする。