マンキュー経済学 ミクロ編 ‐11‐
-公共財と共有資源-
この章では市場価格がない財に発生する問題を検討する。ある財に価格がついていないとき、民間市場でその財の適切な量の生産と消費がなされるという保証はない。その場合、政府の政策は潜在的には市場の失敗を改善し、経済的福祉を増やす効果を持つ。
①さまざまな種類の財
「排除可能性」と「競合」の観点から財を四つに分けることができる。
1.私的財(排除可能、競合あり)
2.自然独占(排除可能、競合なし)
3.共有財(排除不可能、競合あり)
4.公共財(排除不可能、競合なし)
ここでは共有財と公共財に着目する。これはどちらも価値のあるものに価格がつけられないために外部性が生じる。
②公共財
・フリーライダー問題
フリーライダーとは、ある財から便益を得るが、それに対する支払いを避ける人のことである。ある財が外部性の便益を与えてしまうのであれば、供給者はその分の代金を集めることが困難になってしまう。
・費用-便益分析の難しさ
私的財では価格が買い手にとっての財の価値を表すのに対し、公共財の担い手(政府)がその公共財に対する価値を把握することは難しい。
③共有資源
共有地の悲劇は外部性のために生じる。ある家庭の羊が共有地で草を食べると、他の家庭が利用できる土地の質は低下する。人々はどれだけの羊を所有するかを決めるときに、この負の外部性を無視するので、結果として羊の数は過剰になる。
④結論
これらの問題は財に対する所有権が確立していないことが原因で生じる。その場合には政府はこの市場をうまく機能させる能力を持つ。