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『沖縄文学選-日本文学のエッジからの問い』 岡本恵徳・高橋敏夫編

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三月に沖縄へ旅行した。高校の修学旅行も沖縄だったのでこれが二度目であったが、そこで初めて目にしたのは、表面上は本土と同じように振る舞っていても、どこか深淵では決定的に異なった感覚をもった人々、土地、文化であった。

 

最近では報道で沖縄の話題が取り上げられることが多い。本土の人間は沖縄のことをわかったふりをしながら、「それでも」と論理的に彼らを追い詰める。論理というのは非常に強力なもので、時としてそれは人間を窒息死させてしまうことすら可能だ。

 

私はそんな論理の恐ろしさを何処よりも知る沖縄の、感性の発露をのぞきたいと思い、旅行から帰って早速この本を読みだした。

 

本には明治時代から現代に至るまでの沖縄文学の挑戦と革新、そして葛藤の記録が収められている。それはかつて客体でしかなかった沖縄文学が、次第に主体性を獲得し、本土へ牙をむいていく過程でもある。

 

個人的には崎山多美の『風水譚』(1997)が強く印象に残った。抽象的で幻想的な筆致のこの作品は、あからさまに悲劇的でないところが良い。しかし確かにこれは沖縄が持つ歴史を感じさせてくれる。

 

もちろんこの本だけで沖縄のことが分かったような口がきけるわけではないし、恐らく何年かかっても本土生まれの私には沖縄を分かることなどできない。ただその努力は必要だし、決して無駄ではないと思うのだ。それは現代の日本に生まれた私の義務でもある。