『テキストブック 金融入門』 序章&①貨幣と決済の仕組み
序章
・金融は「貨幣の貸借」と「保有資産構成の変更」の二つに大きく分けることができる。
第一章 貨幣と決済の仕組み
1.貨幣による経済
・貨幣とは決済手段である。
・硬貨は政府が、紙幣は日本銀行が発行している。
・終戦直後の日本は物資の不足からインフレが起きた。インフレが起きると貨幣の価値が下がり、それを決済手段として受け入れなくなる。
・振り替えとは、同じ銀行の中で、支払人の預金口座から資金を引き落とし、受取人の預金口座に入金すること。
・普通預金や当座預金などの、預金者がいつでも払い戻しを要求できる預金を、要求払い金という。
・要求払い金は預金通貨とも呼ばれ、貨幣と定義される。
・もしも全ての人が現金でしか決済できなくなれば、取引費用は膨大となる。
・狭義の貨幣の定義には銀行と中央政府が保有している現金塚と預金通貨は含まれない。
・現在の現金通貨と預金通貨の割合は19%と81%
・現金の流通高の伸び率は低下傾向にある。
2.銀行と決済制度
・日銀と各銀行をつなぐネットを日銀ネットという。
・銀行同士の取引は日銀当座預金の振り替えをもって行う。
・銀行を仲介として行う決済を為替という。
・異なる銀行間の決済(個人と店など)にも日銀が仲介する。
3.貨幣の歴史
・英語の資本は牛から派生した。
・古代中国では子安貝が貨幣として使用されていたため、交換に関係する感じの部首には「貝」が使われる。
・日本では昔に稲が使われており、値(ね)は稲の「ね」に由来する。
・しかしこうした商品貨幣は価値を保つのが困難だったため、金属貨幣がとって代わった。
練習問題
Q1.貨幣を定義したうえで、クレジットカードが貨幣であるかどうかを説明しなさい。
A1.貨幣とは、「決済手段」である。クレジットカードを使用すると、後日クレジット会社が商品購入者の預金から、商品販売者の口座へ振り込みをするように指示がなされる。つまり、クレジットカードを使った段階ではまだ決済はなされていないため、貨幣の定義からは外れる。
Q2.電子マネーとしてEdyカードを取り上げ、その仕組みを説明した上で、Edyカードは貨幣であるかどうかを説明せよ。
A2.Edyカードは、その発行会社に消費者が貨幣を払うことで受け取ることができる。このとき、消費者が払った現金は電子データとしてEdyカードに記録される。消費者はEdyカードを使って、その加盟店で買い物をすることができる。消費者は購入時に電子データを加盟店に渡し、後日そのデータをもとに発行会社と加盟店で決済が行われる。Edyカード自体では決済を完了することができていないので、貨幣ではない。
Q3.物品貨幣の例を三つ以上あげ、なぜそれらが貨幣として利用されたか、またそれらはなぜ金属貨幣に置き換えられるようになったかを説明せよ。
A3.物品貨幣の例として、古代ゲルマンの牛、中国の子安貝、日本の稲などがある。これらはある共同体の中で安定的な価値をもっていたため、貨幣として使われていた。しかし、それらは価値を保つための保存に手間がかかり、分割も難しかったため、金属貨幣が台頭した。
Q4.捕虜収容所では、タバコが貨幣として使われたと言います。なぜ、タバコが貨幣として使われたのかを説明しなさい。
A4.捕虜収容所の共同体の構成員たちが、「タバコは多くの人が吸いたいと考えているので価値がある」と考えていたから。
Q5.問題文省略
A5.①Aさんの預金残高は減る。②B旅行会社の預金残高は増える。③X銀行の日銀当座預金残高は減る。④Y銀行の日銀当座預金は増える。