『中村元の仏教入門』 中村元

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東北学院で行われていた講義の内容をまとめたもの。講義録であるため非常にわかりやすく、初学者にもうってつけの本だった。歴史と理論と実践がそれぞれ程よい量で書かれています。

 

自分のためにいくつか内容をまとめると

 

五蘊

個人存在を、変移しつつある御酒の構成要素の群れに分解してしまう考え方(p.63)

「色」・・・感覚的・物質的なもの一般

「受」・・・私たちの感覚や感情

「想」・・・心の内部に像を形成すること

「行」・・・能動性、潜在的形成力

「識」・・・対象を区別して認識する能力

 

・業

倫理的な因果関係。善いことをすれば善い報いがあり、悪いことをすれば悪い報いがある

 

・十二縁起

迷いや苦しみの生じる因果関係を説明したもの

「無明」・・・よく知らないこと。無知

「行」・・・だから我々をかきたてる潜在的な形成力ができる

「識」・・・だから意識の識別作用が現れる

「名色」・・・だから主観と客観の対立ができる

「六処(眼、耳、鼻、舌、身、意)」・・・だからそれに基づいてこれらの器官で対象に働きかける

「触」・・・だから対象との接触が生まれる

「受」・・・だから感受作用がおこる

「愛」・・・だからそれによって妄執が生まれる

「取」・・・だから執着がおこる

「有」・・・だから生存一般がある

「生」・・・だから生まれ出ることがある

老子」・・・だから生まれ出たものがあるので、過ぎ去り滅びることがある

 

この十二縁起が後に発展して、すべてのものが他のものと他のものとの関係性によって生まれるという、「縁起」の用法が生まれる(例えば龍樹)

 

などなど。

 

後半の実践倫理の部分は具体例も交えて語られていて、非常に理解しやすかった。

 

だけど個人的な問題として仏教倫理をまだ自分の中できちんと消化するには時間がかかるなあ。「こうである」という説明は納得できるんだけど、だから「こうすべき」という結論にはまだまだ安易に飛びつけない。でも今後の生活の根底となる倫理を考えたいから仏教の本を最近読んでいるというのがあるので、これからも考えないといけません!