『これでわかったビットコイン』 斉藤賢爾

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ビットコイン」って、ITと政治経済という自分の興味がある分野の両方に関係があるんじゃない?いやあるよ!…と思いKindle版を読了。ビットコインの使い方から設計まで明快に記してあり、勉強になった。

 

まずビットコインはデジタル署名やハッシュ関数など、基本情報技術者試験で勉強するような技術が応用されていると知り、「なーんだ。意外に大したことないじゃん」と感じた。作れと言われて作れるものじゃないけれど、概念を理解するのはそこまで難しくはない。

 

この本では基本的にビットコインに対して批判的。設計における様々な脆弱性やそもそもの目的と実像のズレ(権力から自由な通貨を作るといいつつ、強力なマシンをもつ一部の人だけが「マイニング」できる実際ってどうなのよ)などを指摘していた。

 

まあビットコインの設計は不完全にしても、こうしたデジタル通貨の流れって止められないよね。きっと誰かがより良い仕組みを考えて、ビットコインを改良、ないしは新たなデジタル通貨を作っていくだろう。

『テキストブック 金融入門』 ⑥金融市場と金融資産

1.金融市場の分類

・金融市場は取引の参加者が不特定であれば「市場取引」とそうでない「相対取引」に分類される。相対取引の典型は銀行などによる貸付である。

・企業が債券発行によって資金を調達する場合で、私募債の場合は相対取引に近い傾向がみられる。私募債の購入者はほとんどの場合、機関投資家である。

・狭義の金融市場は短期金融市場と長期金融市場とに分類される。短期か長期かは主に取引される金融資産の満期の長さで決定される。

・短期金融市場では貨幣の一時的な過剰や不足を調整するために行われる。

・市場には発行市場と流通市場が存在する。

 

2.日本の短期金融市場

・日本の短期金融市場には、インターバンク・マネー・マーケット(銀行間資金市場)とオープン・マネー・マーケットがある。

・オープン・マネー・マーケットで取引される短期金融資産には、譲渡性定期預金(CD)、コマーシャルペーパー(CP)、割引短期国債(TB)、政府短期證券(FB)、ユーロ円などである。

 

①譲渡性定期預金(CD)・・・銀行が発行する大口定期預金。購入者が売却可能な部分が普通の定期預金と異なる。CDは一定期日後に、一定の価格で買い戻すことを条件に売買される。これをCD現先という。

 

コマーシャルペーパー(CP)・・・企業が短期(満期は二週間~九ヶ月)の資金調達のために発行する無担保の約束手形。優良企業のみに発行がゆるされる。

 

③割引短期国債(TB)・・・国債の償還にともなう償還金を再吸収する手段として発行される短期の国債で、満期が六ヶ月、一年の二種類がある。TBでは発行価格が額面価格よりも低い。投資家は安く買い、数ヵ月後に高く売ることで差分の利益をえる。

 

④政府短期證券(FB)・・・国によって短期間(通常は年度内または一年以内)に償還される割引方式の国債

 

⑤ユーロ円・・・日本以外で取引される円建ての金融資産。円建てとは、「価格や利子を日本円で表示すること」を意味する。ロンドン市場が中心。海外の日本への輸出業者が円建てで輸出代金を受け取り、それを海外で保有・運用するときに創出される。

 

3.日本の資本市場

・企業の資金調達手段は、社債、外債および株式がある。

 

社債・・・普通社債新株予約権社債がある。後者は発行会社の株式を一定の条件で取得できる権利が付与された社債。予約権が行使されると、社債は償還されて予約券の行使価格の払い込みにあてられる。

 

②外債・・・日本の居住者が海外市場で発行する債券および非居住者が日本国内で発行する債券を外債という。外債には外貨建ての外貨債と、円貨建てのものがある。円貨建て外債には、非居住者が日本で発行する円貨建て外債と、海外市場で発行される円貨建て債券とがる。前者はサムライ債といわれ、後者はユーロ円債と呼ばれる。

 

③株式・・・利子支払いの約束と償還がない証券。

『テキストブック 金融入門』 ⑤間接金融の仕組み

1.銀行の金融仲介機能

・貸し手の情報生産活動にかかる費用(審査費用や監視費用)を情報生産活動という。これは個人よりも銀行の方が低くなるから、結果として貸し出しが増え、利子率が低下する。

・銀行は最終的貸し手の選好にあった資金運用手段を創設する「資産転換機能」を持っている。

・土地担保融資には、将来性はあるが土地のない企業に金が融資できないなどの問題点がある。

・貸付債権の証券化とは、貸付債権を担保として、利子と元本の受け取り請求権を持つ証券をつくり、それを分割して投資家に売却すること。これは以下のように行われる。

①銀行が特別目的会社を設立する。②これは貸付債権から得られる利子と元本返済金を受け取ることができる証券を作り、投資家に販売する。③銀行は貸付をした企業からの返済を特別目的会社に支払う。④特別目的会社はこの資金を証券を保有する投資家に支払う。

・上記の証券は資産担保証券ABS)の一種。

・満期の短い預金と満期がきわめて長い住宅ローンの組合せは、満期のミスマッチと呼ばれる。

 

2.銀行以外の金融仲介機関

・銀行以外の金融仲介機関には、保険会社と投資信託委託会社、ファンド及び信託銀行がある。

投資信託は小口の投資家に対して、分散投資による手数料増大という問題を関しながら、株式投資社債投資にともなうリスクの軽減を図る。

・狭義のファンドでは私募の投資によって、機関投資家富裕層から集めた資金を運用する。

 

A1.銀行には貸付の専門機関としての審査費用における規模の経済が存在する。それゆえ低い金利でも、審査費用が低くなるので、貸付を行うことができる。

 

A2.借り手のモラルハザードを防ぐために、貸し手は借り手の監視を行うが、これにも規模の経済が存在するため、銀行はモラルハザードを防ぐことができる。

 

A3.省略

 

A4.預金の預け入れと引き出しに関して「大数の法則」が働くから。

 

A5.長期の証券の金利を、変動金利制にすることで、金利リスクを軽減する。

 

A6.投資信託によって低い手数料で分散投資を可能にするから。

『テキストブック 金融入門』 第4章 直接金融の仕組み 

1.直接金融と間接金融

 

・証券は満期を基準に短期証券と長期証券にわけられる。

 

◆短期証券

約束手形・・・一定の期日に貨幣を支払うことを約束して発行される証券。満期日に支払うことを約束した金額を額面価格という。

・手形割引・・・満期前に銀行で約束手形を換金することができる。この場合買い取り価格は額面金額よりも低くなる。これを手形割引という。この差は貸付にともなう利息に相当する。

・手形貸し付け・・・銀行が借り手に手形を発行させて、短期資金を融資すること。

コマーシャルペーパー・・・短期資金の調達のために、無担保で発行される約束手形

 

◆長期証券

・証書借り入れ・・・借り手が借用証書を発行して資金を調達する手段。満期は通常一年異常。

・債権・・・額面価格、満期、利息などを記した証券。

   私募債・・・特定の投資家に向けて発行されるもの。

   公募債・・・広く一般投資家に向けて発行されるもの。

・株式・・・満期のない長期の資金調達手段。配当や、解散後に債務を返済した後の財産を分配してもらう権利をもつ。持分とは保有株式数を発行済株式総数で除したもの。

 

・直接金融とは、最終的貸し手から最終的借り手に貨幣が移転するときに、直接証券だけが発行される金融のこと。

・間接金融とは、間接証券(預金通帳など)が含まれる金融形態。

 

2.情報の非対称性と直接金融

 

・株式会社の株主は個人的に会社の負債を返済する義務を負っていない。対して個人企業は無限責任である。

 

◆民間企業が社債によって資金調達ができる条件

・発行額が大きいこと。なぜなら社債の発行費用と販売費用は大きな固定費用であるから。

・透明性のある情報。

 

貸借対照表は、まず資産と負債の価値を決定し、資産価値から負債価格と控除して、株主資本の価値を求める。

 

・証券会社の店頭で売買する株式公開を店頭公開といい、証券取引所で取引できるようにする株式公開を株式の上場という。

 

東証マザーズヘラクレスなどの証券市場は、新興企業の上場を容易にするために作られた。

 

社債発行のためには、事業内容、資本構成、財務諸表、資金使途などを含む目論見書を公開しなければいけない。

 

・証券会社にはセリング業務とアンダーライター業務がある。

 

・満期前に既発証券を売買する市場を流通市場という。必要に応じて投資家がポートフォリオを調整できる流通市場は、発行市場の活性化のためにも不可欠である。

 

◆証券会社の役割

発行市場において

セリング業務

・アンダーライター業務

流通市場において

・ブローカー業務・・・投資家の注文取次

・リーディング業務・・・自らリスクをとって売買する。

『テキストブック 金融入門』 ③貨幣と金融取引

1.貨幣の過不足と金融

・貨幣には「価値尺度機能」と「価値保存機能」がある。

・自分がもっている資産を売却して、不足する貨幣を調達する方法を自己金融という。

・他の経済主体から貨幣を借りる資金調達を消費者金融という。

・貨幣の貸借による金融を外部金融という。

・一国の経済取引にかかわる経済主体は、個人、法人企業、政府、外国部門に分けられる。

・保有している金融資産から負債を差し引いた金額を純金融資産という。

・借金の返済は貯蓄である。

・企業の支出=原材料費+給料+その他の経常支出+支払利子+支払配当+投資

・企業の貯蓄=減価償却費+内部留保

・収入と支出の差は貯蓄と投資の差に等しい。

・貯蓄と金融資産の減少によって投資資金を調達することを内部金融、負債の増加と株式の発行による資金調達を外部金融という。

・経常収支=対外収入ー対外支出

・経常収支が黒字の国は海外に資金を貸し付けたり、投資をしたりする。これを資本の流出という。

 

A1.3300万

A2.100万

A3.50億

A4.20億

A5.10兆円の不足。日本は10兆円の貯蓄超過。

A6.

①高齢者の増加

②投資が抑制されているため。

社会保険料の増加。公共投資の増加。

④日本は経常黒字が続いている。第二次石油危機いにょって、原油価格が高騰したから。

『テキストブック 金融入門』 ②銀行による貨幣の供給

第二章 銀行による貨幣の供給

1.貨幣の供給

・私たちに現金が供給される仕組みは、まず銀行が日銀当座預金口座から必要な現金を引き出し、それが現金輸送車で銀行に運ばれる。これを私たちは窓口やATMで下すことにより、私たちの手に現金が供給される。

・預金を需要しているのは私たち非銀行部門であり、預金を供給しているのは銀行である。

・2008年の銀行の要求払い預金残高は266兆円だが、銀行全体が保有していた財産は9兆円で、要求払い預金の3.6%にしか満たない。

・銀行が容易しておかなければいけない現金量は、純現金流出額と呼ばれ、現金の流出額-現金の流入額で表される。これは大数の法則が働き、とても小さいものとなる。

・AさんがZ住宅の住宅代金を払うのに、銀行が貸し出しをしたとする。銀行はAさんの口座に1000万円を入金する。もしもZ住宅がその銀行に口座を持っていれば、銀行はさらにAさんの口座からZ住宅の口座へ振り替えをすることになる。銀行は貸し出しによって積極的によお金を供給することができ、これは預金創造と呼ばれる。

・銀行は証券を購入することによって預金を供給することもできる。

 

2.決済システムの安定化政策

・銀行が回収できなくなった貸し出しを不良債権という。

・銀行が取り付けを防ぐために現金を増やす方法として、①保有している日銀当座預金を引き出して現金に換える、②銀行が持っている手形や国際などの証券を売却する、③他行から資金を借りる、④新たな貸し出しを行わないの方法がある。

・銀行取り付けは他行へ伝染する。

・預金の振り替え・振り込みによって決済が使えなくなる状況を決済システムの崩壊といい、崩壊のリスクをシステミック・リスクという。

・このリスクに対処するのは日銀で、①銀行が持っている証券を買いとる、②銀行に資金を貸し出すという方法がある。よって中央銀行は最後の貸し手と呼ばれる。

・平時の安定化政策として、銀行が過度な貸し出し競争を行わないように、競争制限的規制がなされる。具体的には①参入規制、②預金金利規制、③店舗規制などがある。

・これらの規制は既存の銀行には超過利潤(規制レント)を与える。

・1980年以降には金融自由化が進んだ。

・決済システムのセーフティーネットとして預金保険制度がある。しかしこれは預金保険にともなうモラルハザードの問題から、一定額以下の預金の保証に限定している。

・1000万円以上の大口預金者は、銀行の経営が健全であるかを監視する。これを市場による銀行経営の監視という。

自己資本の価値 ≡ 株主資本の価値 ≡ 資産価値-負債価値

・銀行にとっての負債とは預金のため、自己資本比率が高い銀行ほど、預金の安全性が高い。

国債のリスクは0である。

・海外に拠点をもつ銀行は、BIS規制によって自己資本比率を8%以上に保つ必要がある。

・不健全銀行には隔離政策を行う。

 

練習問題

A1.銀行は預金者の要求に応じて預金の現金化に対応するとともに、振り替え・振り込みによる決済を提供するサービスを私たちに提供していると考えられるから。

 

A2.創造されない。サラ金からお金を借りると、サラ金の預金は減り、借りた人の預金が増えるだけなので、社会全体としてはお金が増えていないから。

 

A3.①持っている手形を売却する。②日銀当座預金を通して他行から資金を借りる。③中央銀行から借りる。

 

A4.上記の方法により保有現金を増やした。

 

A5.銀行はハイリスクハイリターンな融資を行い、預金者は高利子を目当てにそうした銀行を利用する。

 

A6.モラルハザードが起きないようにするため。

 

A7.銀行の自己資本比率をもとに健全性を判断し、問題のある銀行には早期に改善するように勧告することで、取り付け騒ぎの伝染を防止する。

『テキストブック 金融入門』 序章&①貨幣と決済の仕組み

序章

・金融は「貨幣の貸借」と「保有資産構成の変更」の二つに大きく分けることができる。

 

第一章 貨幣と決済の仕組み

1.貨幣による経済

・貨幣とは決済手段である。

・硬貨は政府が、紙幣は日本銀行が発行している。

・終戦直後の日本は物資の不足からインフレが起きた。インフレが起きると貨幣の価値が下がり、それを決済手段として受け入れなくなる。

・振り替えとは、同じ銀行の中で、支払人の預金口座から資金を引き落とし、受取人の預金口座に入金すること。

・普通預金や当座預金などの、預金者がいつでも払い戻しを要求できる預金を、要求払い金という。

・要求払い金は預金通貨とも呼ばれ、貨幣と定義される。

・もしも全ての人が現金でしか決済できなくなれば、取引費用は膨大となる。

・狭義の貨幣の定義には銀行と中央政府が保有している現金塚と預金通貨は含まれない。

・現在の現金通貨と預金通貨の割合は19%と81%

・現金の流通高の伸び率は低下傾向にある。

 

2.銀行と決済制度

日本銀行や銀行間の取引には日本銀行当座預金が用いられる。

・日銀と各銀行をつなぐネットを日銀ネットという。

・銀行同士の取引は日銀当座預金の振り替えをもって行う。

・銀行を仲介として行う決済を為替という。

・異なる銀行間の決済(個人と店など)にも日銀が仲介する。

 

3.貨幣の歴史

・英語の資本は牛から派生した。

・古代中国では子安貝が貨幣として使用されていたため、交換に関係する感じの部首には「貝」が使われる。

・日本では昔に稲が使われており、値(ね)は稲の「ね」に由来する。

・しかしこうした商品貨幣は価値を保つのが困難だったため、金属貨幣がとって代わった。

 

練習問題

Q1.貨幣を定義したうえで、クレジットカードが貨幣であるかどうかを説明しなさい。

A1.貨幣とは、「決済手段」である。クレジットカードを使用すると、後日クレジット会社が商品購入者の預金から、商品販売者の口座へ振り込みをするように指示がなされる。つまり、クレジットカードを使った段階ではまだ決済はなされていないため、貨幣の定義からは外れる。

 

Q2.電子マネーとしてEdyカードを取り上げ、その仕組みを説明した上で、Edyカードは貨幣であるかどうかを説明せよ。

A2.Edyカードは、その発行会社に消費者が貨幣を払うことで受け取ることができる。このとき、消費者が払った現金は電子データとしてEdyカードに記録される。消費者はEdyカードを使って、その加盟店で買い物をすることができる。消費者は購入時に電子データを加盟店に渡し、後日そのデータをもとに発行会社と加盟店で決済が行われる。Edyカード自体では決済を完了することができていないので、貨幣ではない。

 

Q3.物品貨幣の例を三つ以上あげ、なぜそれらが貨幣として利用されたか、またそれらはなぜ金属貨幣に置き換えられるようになったかを説明せよ。

A3.物品貨幣の例として、古代ゲルマンの牛、中国の子安貝、日本の稲などがある。これらはある共同体の中で安定的な価値をもっていたため、貨幣として使われていた。しかし、それらは価値を保つための保存に手間がかかり、分割も難しかったため、金属貨幣が台頭した。

 

Q4.捕虜収容所では、タバコが貨幣として使われたと言います。なぜ、タバコが貨幣として使われたのかを説明しなさい。

A4.捕虜収容所の共同体の構成員たちが、「タバコは多くの人が吸いたいと考えているので価値がある」と考えていたから。

 

Q5.問題文省略

A5.①Aさんの預金残高は減る。②B旅行会社の預金残高は増える。③X銀行の日銀当座預金残高は減る。④Y銀行の日銀当座預金は増える。